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たぶん、パリ

夏の映画日記2013ー "Frances Ha"

「夏の映画日記」といっても、
もう夏も終わりだから。
早く書いてしまわなくては、パリはすぐに秋がきてしまいそうだ。


観た順番はこの際置いておいて、
まだフランスで上映中の作品から。
「Frances Ha」

この夏、というより2013年上半期で
私の中でのベストかもしれない。


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予告編でなんとなく気になってはいたのだけど、
封切りがちょうど日本にいた頃だったので
映画館では観ないかな、と思っていた。

ところが日本から戻ると、
色んな人が「よかったよ」とか「いいらしいよ」と言うもので、
それだったら、と何の気なしに観に行ってみたら、
それはそれは、とても気持ちのいい作品だった。


舞台はニューヨーク。
20代後半の、ダンサー(志望)の女の子の話。

仕事、恋、友情
色んなことがうまくいかなくて、必死にもがいて、でもなんとか明るくがんばって。
と書くと、どこにでもありがちなストーリー?と思ってしまうでしょうけど。

描き方が、面白い。

30歳前後の頃におそらく誰もが通るであろう経験や、感情を
しめっぽくならずにうまく追いかけて
全編モノクロで展開するストーリーは
まるでひとりの女の子のドキュメンタリーのよう。

特に親友とのやりとりや距離感が、
非常にこの世代の女の子っぽくて
描写がうまいなあ、ととても感心した。

そして主役の彼女の、いい意味で普通な感じがいい。
すごく美人なわけでも、スレンダーなわけでもなく、
でも一度みたら忘れない、フレッシュで個性的な魅力を持っている。


きっと世代も性別も関係なく、皆が
観終わったあとに
ふわっと明るい気持ちになれる、とてもチャーミングな作品。

映画に詳しい友人は
「ヌーベルヴァーグの映画っぽいよね」
と言っていた。
私は「ふーん、そう?」程度の知識と感覚だけれど、
でもそうね、なんだかちょっと新しくて古い感じ。(なにそれ?)
そんな雰囲気も、私にとっては入り込みやすかったのかもしれない。

音楽もよかったし、
DVDが出たら、ぜひ手元に置いておきたい。
# by tabunparis | 2013-09-07 06:03 | 映画

夏の映画日記2013ー 「うたかたの日々」

 
そろそろ日本でも公開になるという
「L'écume des jours」、邦題「ムード・インディゴ 〜うたかたの日々〜」

言わずと知れた、ボリス・ヴィアンの名作の、映画化作品。



夏の映画日記2013ー 「うたかたの日々」_d0157810_695977.jpg




フランス人なら誰もが思春期時代に読んだとされる国民的文学を、
多くのフランス人に愛される映画監督、ミッシェル・ゴンドリーによって映像化。

ということで、
フランスでは公開前から大きな話題となっていた。
広告もすごかった。


私自身も、原作もゴンドリー作品も大好きなので、
発表当初は大いに興奮した。

しかしながら、キャストを知るにつれ、公開前の情報を得るにつれ、
なんだか少しずつ、期待度が下がっていき・・・

それでももちろん映画館に足を運び、鑑賞。


結果は、
「期待以下でも、期待以上でもない」

まあ、こんなものだよね
という感じだった。

周りにそう言っても、
「まあそんなものだろうね」
と口々に返された。

なぜだろう?


細かい話は敢えてしないけれど、
まずはヒロインのクロエを演じた、オドレイ・トトゥが非常に残念だ。

彼女のことは決して嫌いではないし、
作品によってはとてもいい女優さんだと思う。
でも、この作品では
彼女の存在が、すべてを台無しにしていた。
(もちろん私の視点では、という話。でも周りのフランス人らも同意見だった)

そもそも彼女には、「謎の不治の病」にかかりそうな雰囲気が全くない。

ああ、残念。


キャストに関しては、色々と大人の事情が絡んでいたようなので、
まあ仕方ないのだろう。


肝心の映画のはこびも
原作に忠実だし
(そのためにか要素を盛り込みすぎて、いささか長く感じるくらいに忠実)
ゴンドリー監督の生み出す、やさしく可愛らしく、
そしていい意味で夢見がちな空気感は健在だったけれど

でも、なんていうんだろう?
それ以上の何か。
化学反応?
みたいなものを、もっと感じられたらよかったのになあ。


考えてみると、トレイラーが一番良かった。
初めて見た瞬間、わくわくして、公開が待ち遠しいと思った。

トレイラー内で使われている
The Lumineersの曲 "Ho Hey"は、公開前はフランスのラジオでヘビーリピートされていて
私も大のお気に入りだったのだけど、
映画では全く使われていなかった。
あれは一体、何だったのだろう?








久しぶりにこの映像を見てみたら、
やっぱり面白そうに映って。
もう一度みたら、また別の感じ方をするのかもしれない!

でも正直、映画館での大画面でなくて
DVDでまったりと鑑賞、くらいでちょうどいい作品なのかもなあ
# by tabunparis | 2013-08-27 04:07 | 映画

夏の映画日記2013ー「サイド・エフェクト」

大の映画好きでも、
定期的に多くの映画をみるわけでもないけれど、
この夏はいろいろな意味で印象に残る作品をみたので
メモ風に記録してみようと思う。
(いつまで続くことやら)


夏の絵日記ならぬ、映画日記。



まずは日本に里帰りしたときの機内で見た
「Side effects サイド・エフェクト」


夏の映画日記2013ー「サイド・エフェクト」_d0157810_451317.jpg



上映映画のラインナップがあまりそそられず、
消去法で選んだ映画。
全く期待せずに見始めたら思いのほか面白くて、とても嬉しかった。


スティーブン・ソダーバーグ監督のサイコスリラー。

ドキドキものは結構苦手で、
映画館で観ると、ビクッとしたり顔を隠したりといちいち動くので
一緒に行く人に煙たがられる。
だから、この手の映画は機内上映くらいの小画面が
私にはちょうどいい。


主演のジュード・ロウがいい。

元々、ヴィジュアルからして大好きな俳優だけど、
歳をとって(髪の毛も失って)どうなってしまうかといらない心配をしたりした時期もあった。
余計なお世話とわかりつつ。
でも結果、味のある、渋い人になった。
成功を手に入れたのものの悩み多き大人、みたいな役がとても合っている。


そして、女優のルーニー・マーラがとてもいい。

はっと息をのむほど美しく整った顔立ちなのに妙に薄い感じ、
何を考えているかわからない空気感(それが役での重要点なのだが)が
映画の全体を通して際立っている。


映画しかり、他のものしかり
年齢や経験を重ねるにつれ、
自分の好みははっきりしていく一方のため
観たり触れたりする前から、好きか嫌いか
大体わかってしまう。

だから、
こうして期待せずに結果満足できる出会いって、
実はそう多くはない。
空の上での、ラッキーなサプライズ。

日本では公開されるのかな?と見てみたら、
9月に公開とのこと。
# by tabunparis | 2013-08-26 04:05 | 映画